3月に使ってきた「ゲイルヴェスパー」 -デッキ解説-
今回は3月に使用し始め、24日にはチーム戦で優勝した「ゲイルヴェスパー」について解説していこうと思います。初めてのデッキ解説(?)なことを予めご承知ください。
正直「これ解説するところあるの?」って思うのですが、案外初見だと分かり難いところがあるらしいです。初心者用だと思って貰えれば良いと思います。
◎このデッキを使用しようと思った経緯
2月頃、「モルトNEXT」は「剣」の凶悪な攻めに屈することが多くなり、更に『バトライ閣』がプレミアム殿堂コンビとなることが決まり、構築をゼロから見直す必要が出来た。3月4日には静岡CSチーム戦を控えており、チームメイトからは2つの選択肢を示されていた。
1.「モルトNEXT」を納得できるレベルに仕上げる
2.環境にあった他のデッキを構築、使用する
私にも意地があるので、どうにかして1の選択肢を貫こうとした。それでも万が一のことを考えて用意していた選択肢が2つ。「赤黒剣」と「ゲイルヴェスパー」。
その時に静岡へ持って行ったリストがこちら。
4 デデカブラ
4 界王類七動目 ジュランネル
4 デスマッチ・ビートル
4 ジャンボ・ラパダイス
4 ボント・プラントボ
4 コレンココ・タンク
4 ゼノゼミツ
4 天風のゲイル・ヴェスパー
3 ジーク・ナハトファルター
2 水上第九院 シャコガイル
3 ドンドン吸い込むナウ
自分としてはこれでそこそこ納得がしていたのだが、身内に指摘されたことが数点。
①.1コストって本当に8枚いるのか
②.『ジーク』は3で本当に大丈夫なのか
③.『吸い込む』は本当に必要なのか(環境的に)
①について
それまで「最強レベル軽減だから1コストクリーチャーは8必須」と考えて減らしたことがなかったのだが、試しに7とか6、時には4まで減らしてみた。そこで得た私の結論は、
7や6の時:動き自体に大きな支障は無し。しかしやや『ゲイル』の着地が鈍くなる。
4の時:『ゲイル』が着地する前に負けることもしばしば。
減らす、ということを試みをして「1コストは限りなく重要」で極力削るべきではない、と改めて考えるようになった。
②について
それまで見たことのあるリストは大体が3の採用であり、使用していて不足と感じたことは少なかった。が、これもものは試し、4にしてみた。
手札にキープし易くなったことで安定性が格段に上がったことがかなり実感できた。
最悪でもマナにいればいいので4は過剰かなと考えていたが、4採用により1マナに泣くことが少なくなり、また「勝ち筋として必須」ということから、結果安定していた。
③について
勧められたのは『クロック』。手札に来ると腐り札となってしまうのであまり採用したくは無かったが、『吸い込む』を手打ちすることは数える程しか無かったことからこれまた試しに採用してみたところ、
単純に1ターン確定で貰えるのが強かった。
1ターンを貰えば返しのターンで相手のシールドに依存せずに勝利することが可能なこのデッキには非常にマッチしている。
これらの試行錯誤の後、完成させたのがこちらのリスト。
4 デデカブラ
2 界王類七動目 ジュランネル
4 デスマッチ・ビートル
4 ジャンボ・ラパダイス
4 ボント・プラントボ
4 コレンココ・タンク
4 ゼノゼミツ
4 天風のゲイル・ヴェスパー
4 ジーク・ナハトファルター
2 水上第九院 シャコガイル
4 終末の時計 ザ・クロック
チームメイトに『クロック』2枚を『トレジャー・マップ』2枚に変更されて出たのが11日のサイハテCS。
この直後に全国大会で一部の選手が使用されていた「ゲイル」のリストを拝見し、自分の構築を更に見直した。
・「剣」を見るなら『トレジャー・マップ』は是非欲しい。
2ターン目の『デスマッチ』着地が勝敗を左右する対面なので「剣」が多い環境では「何が何でも」引く必要がある。また『ゲイル』『ジーク』のどちらかが足りない状況などでも、その足りない方に化けることが可能。
・1コストはやっぱり強い。
薄々気付いていたが「盤面にあと1体足りない」とか「ここで1コストがもう1体引けていれば」という場面がかなりあった。秒で再びの8投。
・『コレンココ・タンク』は4いらない?
確かに3→6の流れは非常に強力だ。しかし必ずプレイしなければいけないカードでは無く、1枚プレイできれば十分である。
・『クロック』
私が唯一納得しきれなかったの点は『クロック』が1枚しか採用されていないこと。『クロック』を最終防衛ラインと認識していたので、可能であれば4採用したいくらいであった。
以上のことを加味、そして作り上げたのがこちらのリスト。
◎各カード解説
・『天風のゲイル・ヴェスパー』
パワー12000。クソデカメインコンセプト。4採用。
パワー12000以上のクリーチャー1体に付き召喚コストが「2」少なくなる「W・シンパシー」を持ち、場に出て以降は手札の味方にも同様の能力を与える。
「W・シンパシー」は重複するので
盤面に『ゲイル』を含むパワー12000以上のクリーチャー2体
の場合、手札の『ゲイル』は自身の能力で「4」、場の『ゲイル』が与えた能力で更に「4」、合計「8」軽減で召喚される。
基本的には1体いれば良いが、除去された時のことや、「W・シンパシー」×2のことを考えて2枚抱えいなければならない時もある。軽減の計算は素早く正確に。
・『ジーク・ナハトファルター』
パワー18000。クソデカメインコンセプト。4採用の理由は上述。
彼が着地することはこちらの勝利と相手の敗北を示すと言っても過言では無い。マナにパワー12000以上のクリーチャーが尽きない限り、無限にマナが増えていく。普段は『ゲイル』の後ろからセットのようについてくるが、対面によっては彼が先に出撃し、勝負をしかけることも多々ある。
マナ加速&回収能力がメインだが「ターン開始時に自身をマナから手札に戻してよい」というインチキ効果をも持つ。ただし、興奮してこの能力の使用を忘れないように注意。また、マナから回収するということはマナチャージしてもマナは増えていないということ。コスト管理も重要になってくる。
・『デデカブラ』&『界王類七動目 ジュランネル』
1コストでパワー12000以上の2体。一番の役割は軽減の頭数。『プラントボ』が失敗しても出していけるたくましいクリーチャー。「盤面にあと~体足りない」という時に少し多めにマナがあれば強引に回転を始められる。1マナ使って『ゲイル』のコストを2下げるので単純に1枚で1軽減、軽減が弱いはずがない。両方4採用。
『デデカブラ』は比較的安直で投げに行けるが、殴れないので完全に置物(笑)。
『ジュランネル』はパワー24000。軽減であり最強打点のアタッカー。このデッキ内唯一の「コマンド」クリーチャー。
デメリットとしてタップ状態で出てくるのでこの2体については明確な弱点と言える。特に『ジャック・アルカディアス』は対赤黒剣において勝負を左右するといっても過言ではないカード。『デスマッチ』を焼きながら『ジュランネル』に突っ込まれると被害甚大である。
・『デスマッチ・ビートル』
パワー13000のクソデカ昆虫。メタ兼軽減が役割の縁の下の力持ち。「革命チェンジ」「侵略」「G・ゼロ」など多くのキーワード能力に反応する器用さ。これを無理なく採用することが出来るのがこのデッキの最大の利点と言っても過言では無い。4採用。
ただし『レッドゾーンX』、『ドラゴンズ・サイン』からの『煌龍 サッヴァーク』などこの虫の監視をすり抜ける輩も少なからずいるので要注意。
・『ジャンボ・ラパダイス』
何故かS・トリガーが付いている手札補充カード。これを1回発動するだけでかなりのリソース確保が可能となる。足りていない軽減やフィニッシャーを持ってくるなど、どの様なタイミングでも腐ることの少ない。「手札の量は戦略の幅」を体現している。プレイの優先順位はかなり高め。4採用。
・『ボント・プラントボ』
対面する身内にほぼ必ず『メンデルスゾーン』と称される加速カード。2加速が成功した時、失敗した時、両方のことを考えてプレイする1~3ターン目の思考は特に重要となる。
恐ろしく単純な例だが、
「赤青剣」対面:先攻2ターン目、手札に『ラパダイス』『プラントボ』『デスマッチ』
このターンに『ラパダイス』をプレイすると、次のターンで『プラントボ』をプレイすることが前提ならば、失敗した場合『デスマッチ』が召喚出来なくなり、3ターンバスターの猛攻が直撃する。
詳細は後述するが、このカードは「ゲイル」が環境に出ていくにあたっては多大な影響を与えたであろう。4採用。
・『コレンココ・タンク』
パワー12000。クソデカ蓮根戦車。『プラントボ』から3→6と繋げるともれなく相手に脛を蹴られる(?)。3採用。
前述したように勝つために必須という訳ではないが、勝ち筋の一つに直結してくるカード。たまに『ゲイル』着地後、残った2マナのうち1マナでこれを召喚、効果で『ジーク』回収、フィニッシュ、という流れもあるのでマナ置きは計画的に。
それからこのカードで置いたマナは「タップイン」。更にめくる能力は強制。
『ジーク』の効果で回している最中、アンタップした水マナが無い時は絶対にこの戦車を出してはいけない。
効果でデッキに残っている水のカードを捲った場合フィニッシュ出来なくなる可能性が生じる。
ちなみに僕は蓮根よりも人参の方が好きです。
・『ゼノゼミツ』
パワー12000。クソデカ掃除虫。このデッキで唯一盤面に触れられる。
S・トリガー且つこのパワーなので『プラチナ・ワルスラS』などで刻んできた相手がこれを踏むと、本来より早い段階での勝利が可能となる。
バトル能力も馬鹿にならない。『勝利のリュウセイ・カイザー』などが持つ「マナのタップイン」能力はこのデッキの機能をガクッと低下させる。『ジーク』の能力で置かれるマナが寝てしまい、後続が出せなくなるのだ。『デスマッチ』がいれば『勝利リュウセイ』が出ることは無いが、「ハンデス」などの対面では着地が十分に想定される。また中盤での『ミクセル』などを除去し、フィニッシュし易くする役割も持つ。4採用。
・『終末の時計 ザ・クロック』
言わずと知れた最強クラスのS・トリガー。踏んでもらうだけで1ターンが確実に回ってくる。1ターンあればこのデッキが勝利を掴み取ることは雑作もない。現在環境に大量発生している「ジョーカーズ」対面ではこれがシールドにいるかいないかで勝負が決まると言っても過言では無い。4採用…したいところだが、水文明であることが強さであると同時に弱点でもある。序盤は可能な限り自然文明をマナに置き、展開したいのに引いてしまったこれはどうしても手札でだぶついてしまう。それでも「踏ませなければいけない」対面がtier1にいる以上、減らしても1が限界だと感じ、3採用。
・『水上第九院 シャコガイル』
パワー13000。安心と信頼のクソデ貝フィニッシャー。「ねっしゅーが殴らずに、シャコガイル使ってる!?!?」と一部で反響を呼んでいたとかいないとか。
パワー12000を超えているのが本当に有能。基本的に『ジーク』の効果によるソリティアが始まった後に出すが、全然見えない『ジーク』や必要なカードを引くためにフィニッシュ出来ない状態でも出すことがある。当然除去される危険があるのでマナにもう1枚があるか山札内に確保した状態でなければやりたくない、というかやらない。1だと盾落ちがケア出来ず、『クロック』を採用したうえで3だと水文明が多過ぎるなので2。
強いんだけど、今でもこのカードだけはどうしても好きになれない…。
◎不採用カード
・『タマタンゴ・パンツァー』
好きだし、書いてある能力は強い。S・トリガーであり且つパワー12000のT・ブレイカー。「剣」や以前の「ジョーカーズ」にはこれ1枚がトリガーーするだけで攻撃の勢いが一気に衰える。
最大の難点は「マナにパワー12000以上のクリーチャーが5体以上」いないとトリガーにならないこと。前述のデッキたちには先手を取り、『ボント・プラントボ』の加速が成功することがほぼ前提になる。条件に合わないカードをマナに置くことはまず無いのだが、水文明を採用するうえでは不安要素が残っていた。
最終的に「ジョーカーズ」にこれを簡単にケアできるカードが登場したことが不採用理由としてとどめを刺した。
お前悪いことしかしないな?
・『トレジャー・マップ』
これ1枚からその時々で欲しいカードに化けられる超カード。デッキの下を固定することでフィニッシュが安定する作用もある。特に「剣」に対してより安定して『デスマッチ』の着地を狙うことが出来るのは大きい。
しかし、水文明のカードがデッキ下に固まる可能性は極僅か。また、こちらが『デスマッチ』を引く確率と相手が『龍装チュリス』『ドギラゴン剣』のセットを引く確率はこちらの方が上。こちらが引けずに相手が引いていたら、それは割り切り、と考えた。結果的にあふれる形で不採用となった。
◎勝ち筋
3パターンしか存在しません。
①.小型を並べて『ゲイル』→『ジーク』と動く
②.11マナ溜めて『ジーク』→小型を並べる→『ゲイル』と動く
③.殴る(滅多にない)
本当にこれだけ。ちなみにこの構築にしてから③のプランは一度も取ったことが無いです(笑)。(一度だけ取りかけたことはあったのですが、最終的に①が間に合ったので…)
・①の場合
最も一般的なパターンですので詳細は省きます。相手の除去やキルターンを考えてプレイしていればまず負けないでしょう。
ただし、『ドゥポイズ』や『学校男』を採用している相手には展開するタイミングを考えましょう。例えばハンデス相手には闇雲に展開するだけでなく、『シャチホコ』着地前に『デスマッチ』+αで展開してみましょう。サイキック・クリーチャーは彼の餌です。
・②の場合
盤面に並べるよりもマナを伸ばした方が安定もしくは早いと判断したらこの動きをします。『ミクセル』などを採用している相手に対しては問答無用でこちらになります。
やっていることは一番簡単です。
『ボント・プラントボ』『コレンココ・タンク』でマナを一気に伸ばして11マナ溜めます。
→手札(いなければマナから戻した)『ジーク』を召喚します。
→『ジーク』の効果でアンタップマナが2あります。手札には『ジーク』の効果で戻した1もしくは2コストのクソデカがいますね。出しましょう。
→いつの間にか盤面にパワー12000以上のクリーチャーが4体並びました。おや。『ゲイル』の召喚コストが「2」になりましたね。出しましょう。
→(ry
ね、簡単でしょ?
この②をメインに据えたタイプも考えはしたのですが、調整の段階で環境とカードプール的に難しい、と判断し、①をメイン、②をサブとする従来の構築に落ち着きました。
・③の場合
「『シャコガイル』が2枚とも失踪した」とか「どうしても起きた水マナが確保できない」とかなったらどうするか。
忘れてはいけない。「彼らはクソデカ」。
相手は(多分)ひとたまりもない。
◎その他重要事項
何のことは無い『ボント・プラントボ』についてである。
まずは何も言わずに次の計算式を見て欲しい。
10+(11-2)=19
(10-2)+(11-4)=15
(10-4)+(11-6)=11
(10-6)+(11-8)=7
(10-8)+(11-10)=3
これまた何のことは無い、『ゲイル』→『ジーク』と動いたときに必要になるマナの数である。見易くすると
『ゲイル』着地時、盤面にパワー12000以上が
0体の時:19マナ
1体の時:15マナ
2体の時:11マナ
3体の時:7マナ
4体の時:3マナ
特に除去が飛んでこないコスト帯、もしくは対面であれば必ずしも同一ターンに『ゲイル』『ジーク』を揃える必要は無い。しかしこれを見てもらえれば分かる通り、4体揃えていないと、必要とされるマナの量は加速無しの場合、やや達成が難しいと言わざるを得ない。ただし『ラパダイス』で低コストを抱え込めている場合は話が別である。
それとマナ置き。
『ジーク』や水文明のカードをマナに置きすぎると勝てない。
このデッキは「1つのマナ」が非常に重いデッキである。
「水文明のカードをマナに置きすぎて盤面に低コストクリーチャーを並べられない」
「マナに置いた『ジーク』を戻したら1マナ足りなくて負けた」
前後者共、多少仕方ないところがあるだろうが、後者の一部は別だ。
「『ジーク』はマナから戻れるから手札から積極的において良いんですよね?」
と言われたことがある。
『ジーク』をマナから手札に戻すということは、最終盤で「1マナ」が減るのと同義である。そこまで計算に入れてフィニッシュを組み立てらる人とられない人では当然勝率に差が生じる。
こんなところだろうか…。
改めて、ふきのこ、チョニキ、みんなありがとう!
他に「知りたい!」ということがあれば言ってください。可能な限りで書きます。